2015.11.26

高い見積もりvs安い見積もり…リフォーム工事単価の安い業者が存在する理由

リフォーム工事の単価って、複数見積もり取ると結構なばらつきがありますよね。これはなぜなんでしょう?仕組みや事情を理解すると、見積書の見方がわかり、発注も簡単になってきます。J-REC講師でもあり原状回復工事のプロによる、現場を伝える連載コラムです。

高い見積もりvs安い見積もり…リフォーム工事単価の安い業者が存在する理由

(この記事は満室経営新聞4号・2010年7月に掲載された連載「原状回復工事の裏事情~工事単価の安い業者が存在する理由」です)

今月は、皆さんが直面する工事単価の高い業者・安い業者が存在する理由について考えたいと思います。

不動産業界のピラミッド構造

工事単価には、いろいろな要素が含まれています。そしてそこには、その会社の仕事に対する考え方も反映されています。規模で言えば、一人親方の職人さんと、事務所を構え営業マンや事務員がいる会社を比べると、相対的に間接コストがかからない一人親方のほうが工事単価は安いと思います。
また、少し高いけどアフターフォローがとても良い会社と、安いけど仕事が雑な会社という区別もあります。

もうひとつ忘れてはいけないのが、建築業界におけるピラミッド構造です。基本的に大きな建築物の工事は、
元請け→下請け→孫請け という序列で成り立っています。

当然下層に行くほど、受注単価は下がります。建築業界の不思議な側面でもありますが、下請け、孫請けを専門とする業者の営業先は、同業の大手企業だったりします。自ら元請けになれば、受注金額も向上し利益も増えるのがわかっていながら、元請けにならない理由のひとつは、これもまた建設業界ならではの商習慣「工事完了後の支払い」について関連してきます。通常、建築会社の支払いサイトは非常に長く、月末〆の翌々月10日払いなんていうことは、普通にあります。この場合、工事完了後お金になるまでに何と70日間もかかり、仮に社員がいる場合、約2回分の給料を会社が立て替えることになります。

こんなときに、ポッカリと元請けからの仕事が途切れてしまった場合、社員の給料や仕入先への支払いの為に、手っ取り早く仕事を受注する必要があり、元請けの立場で新規に営業活動を開始すると、実際に仕事を受注するまでには時間がかかるため、自社よりも大規模な会社から、下請け・孫請けとして仕事を回してもらったほうが早いのです。

しかしながら、勇気をもって、下請けから、元請けに転じようとチャレンジする会社があり、仮にそんな会社から、皆さんが見積りをもらったら、今までより数段安い工事単価に驚くことがあるかも知れません。でも、その会社にとっては、下請け・孫請けの受注単価に比べ、逆に数段高い工事単価で見積もりしているのです。

別の見方として、地域による価格の差も見逃せません。ひとつの例として、クロスの工事単価などは、全国的な平均に比べ、大阪周辺は突出して安い単価だったりします。

単価の安いエリアで営業していた会社が、相対的に工事単価の高いエリアで、その平均より少し安い単価を提案するだけで、工事を発注する方、受注する方の双方にメリットがあるわけです。

業者の置かれている立場でコストを考えよう

私自身、大家の立場で考えたら、工事単価は少しでも安いほうが良いに決まっていますが、無理に値切ったりはしません。

アフターフォローと仕事のクオリティーは当然として、発注先の会社(職人さん)の置かれているポジションやその規模を考えて、算出された工事単価の妥当性を考慮しています。

基本的に見積もりに立ち会ったときに、出された名刺が営業社員のものであれば、その工事単価に間接コストは考慮されているでしょうし、その場に作業着で現れ、あたかも現場を抜け出してきた雰囲気で、個人事業主の名刺を出されれば、一人親方である事の可能性は高くなります。

ここまで述べれば、下請け体質の一人親方の工事単価が比較的安いのは、ご理解いただけると思いますが、デメリットは一人であるが故に、他の工事の兼ね合いで、着工までに時間がかかるケースがあることです。

アパマン経営に必要な要素のひとつにスピードがあります。入居申し込みのチャンスはいつ来るかわかりません。一人親方の着工を待っている間も、本来得られる可能性のある家賃収入が目減りしている現実もあるのです。

上級大家さんになると、臨機応変にコストの安い一人親方と少し割高だが機動力のある会社を使い分けたりしています。
皆さんも工事単価の背景をご理解いただき、業者の使い分けを上手に工夫してみて下さい。

工藤一善 リメイクアドバイザー・J-REC神奈川第一支部長
総合商社を2年で退社後、プロセールスの世界で営業力を磨く。平成4年に現在の株式会 社ビッグバンを設立し、原状回復工事専門業者として営業活動を行う。自らも大家業を 営み、最近では管理会社を始め、多数の大家さんから工事依頼のみならず、アパマン経営 の相談も受け、アドバイスや各種講演活動・書籍執筆にも力を入れている。また、一般財団法人日本不動産コミュニティー神奈川第一支部長を兼任。 新刊「みんなが知らない満室大家さんのヒミツ」 http://www.kudokazuyoshi.com/

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