2016.12.26

外国人入居者を意識した物件づくりは危険?!外国人専用物件の落とし穴

近年膨大に増えてきた来日外国人。大部分は観光客ですが、移住を目的にした来日も増えているようです。空室対策としても外国人入居は無視できない存在。ではどんな部屋だと好まれるのでしょうか?またちらほら見かける外国人専用物件、そのメリットデメリットは?

外国人入居者を意識した物件づくりは危険?!外国人専用物件の落とし穴

(この記事は満室経営新聞5号・2010年8月に掲載された連載「外国人入居のすべてが分かるコラム」の記事「外国人のための物件作りはキケン」です)

減少する日本人マーケットからの転換

これから日本は、他国よりも早いスピードで高齢化が進みます。総務省によると、現在、日本人の5人に1人は高齢者です。

10年もたたないうちに4人に1人が高齢者となります。ご存知のとおり、高齢者は賃貸のお客さんにはなりにくく、日本人マーケットは減少する一方。お客さんが減るので、空室を埋めるために色々考える必要があります。家賃をどうするか。建物(室内)をグレードアップするか。

しかしこれからは、経営的な視点から、これまでの「お金」と「建物」に加えて、「人」をどうするかを考えるべき。今回は外国人客を集客するにあたって基本的なことをお伝えします。

まず、外国人を集客するときに物件自体を外国人用にカスタマイズしようと考える人がいます。初期費用なし、家具つき、マンスリーマンションのような住宅、欧米人を専門にした高級賃貸住宅……などなど。

しかし、外国人専用物件にして、外国人を集客するのは困難です。理由は毎年増える人種が不安定なため。そして、違う人種が一緒の物件に住むと管理が難しいためです。

為替で変わる外国人カテゴリ

さて、年々“過去最高”を更新する外国人の数。それはあくまで全体的な数です。人種や滞在目的別に見ると、減っていることもあります。かなりのお金持ちなら別ですが、日本に来る来ないというのは、だいたいの場合、為替で決まるからです。たとえば韓国。現在の状況は、円高ウォン安です。細かい数字は確認していただくとして、円に対する韓国ウォンは2年間で価値はだいたい半分になりました。

2年前の100万ウォンは、現在の日本で使うと約60万ウォンにしかなりません。そうなると、日本へ来る韓国人は、当然減ります。留学生など、収入を国からの送金に頼っている場合も、生活が厳しくなってくるでしょう。そんな中、韓国人専門で物件を作ると、当然影響を受けます。物件運営自体が成り立たないかもしれません。それほど為替の影響というのは大きいものです。

「○○人専門」にしたいのはわかります。しかし、外国人事情というのはすぐに変わり、さまざまな理由により、簡単に外国人は日本へ来なくなります。日本に来る外国人のどの人種が、来年どの程度増えるか、ということはほとんどわかりません。いきなり人数が半分になった年もあります。

外国人の人数自体は、全体としてはこれからも増えていくでしょう。しかし、これから確実に増える“外国人カテゴリ”というのはないのです。

好きな部屋は、外国人も日本人も同じ

それでは、外国人全体を専門にすればいいのかというと、それもいくつも問題があります。

物件を外国人専門にすると、政治や宗教の問題があり、外国人同士が仲良くできないこともあります。入居のノウハウが分かれすぎて、管理が難しくなることもあるでしょう。かといって、お客は日本人だけ、という経営も今後はさらに厳しくなってきます。

私たちは、日本人と外国人が住む社会で暮らしています。日本人が好きな部屋も、外国人が好きな部屋も基本的には同じです。外国人専門にする必要がなければ、日本人専門にする必要もない。だから、集客するときに物件自体を外国人専門に作り変えていく必要はない、ということを覚えておいてください。特に家具付物件にしてしまうと、家具をいらないから家賃を安くしてくれ、と言われることもあります。家賃を高く貸すために家具をつけたつもりが、逆に家賃交渉のネタになってしまうこともあるのです。

外国人専門で注目してくれるのは実は日本人だけ。当の外国人は、日本語で書かれた物件情報を見て、日本語で物件の空き確認をしてきます。外国人のために物件作りなんてやめましょう。物件は今まで通りでOK。そこを念頭におきながら、次回からさらに集客を学んでいきましょう。

株式会社座游代表川田利典
実家の家具屋の業務を通じて不動産ビジネスに目覚め、不動産会社に入社。2006年に「NEC社会起業塾」選考コンペにて、塾生に選出。その後、外国人向け不動産の企画・提供や、外国人への偏見を無くす為、不動産管理を事業とする外国人専用不動産会社「座遊(The-You)」を設立。2007年、雑誌Newsweekの「世界を変える社会起業家100人」に選出される。http://www.the-you.com

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