2016.03.10

国際税理士目線の海外不動産投資2~非居住者としての税金とコスト

もし日本に居住する日本人が改題不動産投資をすると、その税金はどうなるのか?日本でも課税され二重に取られてしまうのではないか?日本の課税と同じように考えればよいのか?等…話題の海外不動産投資の疑問を一つ一つ解決していく、国際税理士による海外不動産投資の連続コラム第2回目です。

国際税理士目線の海外不動産投資2~非居住者としての税金とコスト

(この記事は満室経営新聞2号・2010年5月に掲載された連載「国際税理士が語る海外満喫ガイド~海外不動産投資のゼイム」です)

「海外不動産投資をしたら日本のゼイキンはどうなるのか?」今回はこんな疑問にお答えしながら、海外不動産のゼイキンについて考えてみます。

ゼイキンも投資コストのひとつと考える

海外不動産投資をする目的は、将来の移住のためとか、グローバルな資産分散・資産防衛のためというケースが多いが、資産運用の一つと考えるならば、どの程度の投資リターンが見込めるかをあらかじめリサーチしておく必要がある。ゼイキンも投資コストの一つであり、少なければ少ないほど投資利回りはアップするからだ。

海外不動産投資にかかるゼイキンの特徴は、海外ファンドや株式などの金融商品とは違い、現地国で総合課税によるゼイキンがかかる場合が多いが、ニュージーランドのように、キャピタル・ゲイン課税も相続税もない国もある。税制はその国の政治のあり様を写しだす鏡であり、国が違えば税制も違う。税制がグローバルなものではなく、ローカルなものであると言われる所以だ。

それでは、海外不動産投資からの「果実」は日本でどのように課税されるのだろうか。 日本では居住者である限り、日本での所得のほか海外での所得も合算してすべての所得に対して課税されることになる。いわゆる「全世界所得課税」である。日本の非居住者が日本での所得しか課税されないのとは対照的だ。

具体的には、海外不動産による賃貸所得やキャピタル・ゲインは、日本の不動産と同じように、不動産所得は「総合課税(最高税率50%)」により、不動産譲渡所得は「申告分離課税(長期20%、短期39%)」により課税されることになる。

二重課税の現実

さらに、不動産所在地国でも課税されるため、二国間での二重課税が生じてしまう。これは通常「租税条約」により調整されるが、所在地国での課税が免除されない限り二重課税は解消されない。そこで、居住地国である日本において、「外国税額控除」により、現地で支払った所得税を日本のゼイキンから控除することが認められている。しかし、現地で支払った所得税を無制限に控除することはできず、二重課税をすべて解消できないケースも多いので、注意が必要である。

ここで、海外移住先として日本人に人気の高い「タイ」と「ニュージーランド」の税制(主なもの)を簡単にまとめた。(その他、固定資産税、VATなどがかかる。)

このうち、不動産購入時の建物の評価額がその後の減価償却計算に大きな影響を与えるため、実務上は重要となる。特にニュージーランドの中古物件は木造でも100年、200年住宅が多く、日本での減価償却計算上メリットとなる場合がある。また、不動産売却時の為替レートにより、現地通貨ベースではキャピタル・ゲインとなり、日本円ベースではキャピタル・ロスとなるケースもある。

非居住者とゼイキンの可能性

このように、海外不動産投資のゼイキンは、日本の居住者である限り日本で課税されてしまうため、日本国内の不動産投資と同様、減価償却による損益通算が主な税務メリットとなろう。では、海外移住をして日本の非居住者になったらどうだろう。居住者の時に海外不動産を購入し、非居住者になってから譲渡する。日本では当然ゼイキンはかからないが、ニュージーランドのようにキャピタル・ゲイン課税がない国であれば、どこの国でも課税されない状況を作ることも可能なのだ。さらに、相続税が無い国であれば…。

次回はいよいよ海外不動産投資の出口スキームとしても有効な「海外移住のゼイム」についてお話しします。

田邊政行/田邊国際税務事務所・代表税理士
横浜国立大学大学院修了後、サイエンス・セミナー企画運営会社を経て、税理士に。PricewaterhouseCoopersバンコク事務所での駐在経験を活かした、グローバルな人・もの・お金の移動に係わる税務コンサルティングを得意とする。2008年7月、田邊国際税務事務所を開設。国際相続や海外移住など国際税務に特化したサービスを展開している。
DVD「資産防衛に有利今、話題の国際税務節税」好評発売中。
http://www.itax-japan.com/

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