2016.03.10

女性管理業者のシェアハウス物件記2~嫌がらせとも取れるクレームとは?

高利回りをたたき出すシェアハウスは大家さんにとって魅力的ですよね。しかしそのリスクが気になるところ…。そのリスクの一つ、近隣対応。大クレーマーの隣家とトラブルになった女性専用シェアハウス物件を運営する、女管理会社社長の実体験に基づく奮闘コラム第2回目です。

女性管理業者のシェアハウス物件記2~嫌がらせとも取れるクレームとは?

(この記事は満室経営新聞2号・2010年5月に掲載された連載「ドキュメント近隣対策~迷惑おばさん騒動その2」です)

現在満室稼働を続けている当社管理のシェアハウス。そのひとつにトラブル発生!それは隣人からの騒音攻撃や迷惑行為でした。そして私達へのクレーム攻撃がスタートしたのです。

3時間続いたクレームの大嵐

嵐の中、呼び出された私は、手土産に有名店のロールケーキを持参。玄関先で嬉しそうに受け取る騒音おばさん。しかしだからといって、中に入れて座らせてくれるわけもありません。そこから3時間、神妙な面持ちで傾聴。真面目な姿勢を表現するためにノートにクレーム内容の詳細を記入したのです。

相手の「未知のシェアハウスに対する恐怖感」も理解できなくもないので、可能な限り相手の立場に立ち、言葉を慎重に選びながら応対しました。クレーム対処の本によれば通常、これだけ思いのたけをぶつけられ、それを誠心誠意に受け止め続ければ、どの時点かで相手の心に何らかの変化が生まれるはず。しかし…。

どれだけ頑張ってもそんな兆しはまったく見えてきません。そろそろ先方も言うことが無くなり、同じことを繰り返すようになって飽きてきた頃、ようやく解放されました。

さあ、これからこのおばさんとどう付き合ってゆくか。彼女の求めるもの=「問題が解決されること」ではないのもやっかいで、「入居者」という人質をとられて言われるがまま、されるがままの管理会社。か弱く怯えやすい女の子の入居者達。退去者をたくさん出せば、オーナーにも管理会社にもダメージを与えられる。まさに、うってつけのエンターテイメントです。

解決を望まないクレームの対処法

ある日、シェアハウス室内に置かれた洗濯機の振動があまりにひどく、「自分の家のテーブルに置いたグラスが揺れてワインさえもゆっくり飲めない!」とのクレームが。

ありえない話ですが、念のため担当が状況確認に向かったところ、地面に手をつき土下座をさせられ、おまけに庭の草むしりまでやらされて帰ってきました。

何でも、「これ以上私にストレスを与えたら入居者に何をするかわからないわよ!」と脅すらしいのです。彼女の場合、本当にやりかねないので恐ろしい。
「解決すること」を望んでいない限り、何をやっても騒音やクレームは永遠になくならない。ならば適度に相手をしつつ、地道にクレームのタネを潰してゆくしかないと、クレームの徹底検証と対応をします。

  • 屋外の木製ゴミ箱の開閉音がうるさくて眠れない。
    ⇒音が出ないようゴミ箱のヘリにゴムとスポンジを貼る。
  • 2.玄関の電子キーの電子音の音がうるさい。
    ⇒入居者より電子キーを回収し、普通のディンプルキーを配布。これでお隣と同じ条件に。
  • 入居者が外で、携帯電話を使用しているのでうるさい。
    ⇒隣家からは離れていて、しかも死角となる位置を携帯電話可能エリアに指定。
  • 非常階段の電気が明るすぎて精神的苦痛を感じる。
    ⇒目隠しの乳白色波板を非常階段の隣地サイドに全面的に設置。
  • アジア人は嫌いだから入居させるな!
    ⇒「ハイ」と返事。表札を出さないことにする。
  • 学生は入居させるな!
    ⇒「ハイ」とだけ返事。実際に学生はほとんど受け入れていないのでダメージ無し。
  • 開閉音がうるさいので、どの窓も一切あけるな!
    ⇒窓のヘリと窓枠に消音スポンジを貼る。
  • 洗濯機の振動で眠れず、精神的な苦痛を被っている。
    ⇒洗濯機下に防振ゴムを設置。区役所から機器を借りて音を数値化して記録。
  • お宅の下水がうちの敷地内を通って流れるから排水の音で眠れない。
    ⇒水道局員・隣人立ち会いのもと、排水経路確認。騒音程度を機器にて計測、記録。
  • 窓が近いので防犯上非常に問題だ。危険を感じて精神的に苦痛を被っている。
    ⇒「事実確認調査中」と返答。被害が認められた場合はすぐに被害届を出してほしい、とこちらから提案。
  • すでに侵入された形跡もある。
    ⇒被害届の提出をお願いする。
  • 干したシーツがうちの雨どいに当たるので壊れそうだ!洗濯物は屋外に干すな。
    ⇒物干し場の移動。
  • びん・缶のゴミを屋外に置くと蜂の大群がきて自分の命にかかわる。
    ⇒死角にびん・缶のゴミ設置。また、びん・缶は外に出す前に洗浄の義務化。

そして、彼女はきっと淋しいのだという仮説のもと、時間のあるかぎり相手をしました。社内では真剣に彼女に男性を紹介したら問題は解決するのではないか、という議論さえ出されました。(続く)

水谷紀枝/チューリップ不動産株式会社代表
大学卒業後にデザイン会社に就職し、結婚のため退職。専業主婦をしながら、宅地建物取引主任者の資格を取得し仲介業者として独立。子育てしながら働くために、物件を借り上げて賃貸収入を得るサブリース事業に着目し、働く女性に特化したシェアハウスを考案。シェアハウスという箱だけでなく、女性の自立のためのプログラム開発も視野に入れた事業を展開中。
http://www.tulip-e.com/

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