2015.11.26

「再契約型」定期借家のススメ

不動産管理のプロによるコラムです。ひそかに話題の定期借家契約。再契約型ということで入居者さんにも大家さんにもよりよい契約になるかもしれません。

「再契約型」定期借家のススメ

(この記事は満室経営新聞2号・2010年5月に掲載された記事「物件管理日記~「再契約型」定期借家のススメ」です)

今回は「定期借家権」について触れさせて頂きます。
当社では、約3,400戸の管理物件のうち、約80%を「定期借家権」(以下「定借」)で契約しています。原則、新たに契約するものはほぼ「定借」(期間364日が大半)で契約をしています。
「定借」と聞くと転勤家族の自宅を数年間期間限定で貸すといった所謂「リロケーションもの」を連想される方が大半だと思われますが、当社が扱うのは『通常の継続性のある賃貸借契約』と言えます。

なぜ定期借家契約で契約をするか

賃貸借契約には、「定借」の他に現在一般的に使用されている「普通借家契約」があります。これは、過剰に入居者を保護するという特徴があります。そのため、少々の契約違反や滞納ではなかなか退去させられません。また、将来建て替えを考えている場合、多額の立ち退き料を支払う可能性もあります。このように「普通借家権」はオーナーの賃貸運用に伴うリスクが高いのです。
反面、「定借」にて契約をしていれば、不良入居者は追い出せます。最低でも契約期間が終了すれば退去してもらえます。滞納をしがちで、トラブルの多い入居者は再契約の拒否をすれば良いのです。

また、将来の建替えの計画のために、例えば2020年12月31日で終わりにしたいと思ったら、その期日を最終日として募集をすれば良いのです。入居できる期間が短いので、家賃は下がっていきますが、貸せないことはありません。例えば、残存期間が1年しかない場合に「相場賃料の半額で」募集をすれば、誰かしら借り手はいるかもしれません。「定借」であれば、リスクヘッジしながら最後の最後までしっかり家賃が稼げます。

原則的には再契約が基本

「定借」を利用することによって、『家賃が下がるのではないか?』『礼金・更新料が取れなくなるのではないか?』『入居者募集に苦労するのではないか?』、このような不安をよく耳にしますが、全く心配ありません。オーナーの為になるからこそ使っているのです。
当社がどの様に「定借」を使用しているかといいますと、『期間の満了とともに賃貸借契約が確定的に終了し、更新はありません』に加え、『しかし、賃料滞納や、契約違反等がなければ原則、再契約をします』という文言を入れて契約をしています。
「原則、再契約します。ただし、契約違反があったらしません」と説明するのです。入居者からすると至極普通のことを言われているので、募集上もなんら問題はありません。もちろん、普通の契約ですので、礼金も貰える物件なら頂きますし、更新料の代わりに「再契約料」も慣習に合わせて頂いております。

家賃滞納率の低さは、定借運用のおかげ?

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2010年1月に「日管協」が発表した気になるデータがあります。賃貸物件に於ける家賃の滞納率というデータです。(2009年4月~9月/滞納率全国平均)

  • 月初での滞納・・・月末に支払うべき「前家賃」が支払えてない人。うっかりミスなどもあり。⇒7.5%
  • 月末で1ヶ月滞納・・・当月分賃料を未納。やや危険ゾーン。しっかりとした「督促」が必要。⇒2.9%
  • 月末で2ヶ月以上滞納・・・かなり危険。賃貸借契約を継続することが出来ない状態。⇒2.2%

同じ期間のもので、当社の滞納率は下記になりました。月初の段階で6.5%、月末で1ヶ月滞納率が0.9%、月末で2ヶ月以上滞納率が0.25%。改めて確認してみて、当社の滞納率の低さに驚きました。この数字は契約開始時の『審査』、または『督促方法』も関係していると思いますが、やはり「定借」で運用しているということも滞納の抑止に結び付いている結果だと思われます。契約時に『賃料滞納や、契約違反等がなければ原則的に再契約をします』と説明しているのは、入居者にとって実は、改めて『滞納や、契約違反等がなければ』という部分を再認識できる良い機会になっているのでしょう。

株式会社アートアベニュー
プロパティマネジメントの草分け的な存在として、業界内でも有名な不動産管理・コンサルティングの専門会社。「利益相反の禁止」を徹底しており、業者からのバックマージンは一切受け取らないなど、常にオーナーの側に立った業務の遂行には評価が高い。
代表の藤澤雅義氏は、2003年度のJREM・国際CPM協会会長。一般社団法人日本賃貸経営業協会理事。

http://www.artavenue.co.jp/index.php

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